ろく

手を伸ばしてみたものの 掴んだものはもう持っているもので
ためしに弾いてみたピアノはだたの騒音でしかなく
飾り立てたドアとなにもない窓辺に引っかき傷を残そう

君はそこにいた うそをついた笑顔
となりの木の葉は一枚もない うそもつけない

走り去った車を追いかけた 止まってくれなくて八つ当たり
冷たい顔 暖かい手 真実は口 斑なマフラー
私はマンホールを覗き込む


さようなら
もうすぐ冬が来る